プレ更年期の不安・イライラを軽やかに|心を支える3つのメンタルケア

 

30代後半から40代の女性の多くが経験する、理由のわからない不安感やイライラ。これらの心の変化は、プレ更年期に起こる自然な体の変化が関係しています。

仕事も家庭も充実している毎日なのに、なぜか心が重い。そんな違和感を抱えながらも「もっと頑張らなくては」と自分を追い込んでいませんか?

今回は、プレ更年期に起こる心の変化のメカニズムと、日常に取り入れやすい3つのセルフケアをご紹介します。小さな工夫で、毎日をもっと軽やかに過ごせるようになるはずです。



プレ更年期に心が不安定になる理由|女性ホルモンと脳の深い関係

エストロゲン減少が引き起こす感情の波

卵巣機能が徐々に低下し始めると、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌が不安定になります。エストロゲンは脳内で「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌にも深く関わっているため、気分の安定に直結しています。

  • 理由のない不安感や焦燥感

  • 些細なことでのイライラや怒りっぽさ

  • やる気の低下や無気力感

  • 集中力の低下や物忘れ

こうした変化は「性格が変わった」わけではなく、体の変化に伴う一時的な心の波と理解し、自分を責めないことが大切です。



現代女性特有の「休めない」悪循環

現代の30〜40代女性は、仕事・家事・育児・介護など複数の役割を同時に担うことも多く、気づけば 「常に頑張りモード」 に。心や体が休息を求めても、つい「まだ頑張れる」と自分を追い込んでしまうことも。


  • 家事や育児を優先して自分の時間が持てない

  • 休むと罪悪感を感じる

  • SNSやメールを見続けて脳が休まらない

その結果、 疲労 → イライラ → 不眠 → 集中力低下→さらなる疲労... という負のループが続いてしまうのです。このパターンから抜け出すには、意識的に「心の休息」を取り入れることが重要です。



【ケア1】マイクロレスト|5分でできる休息法

「休息」というと長期の休暇を想像しがちですが、実際に心の回復に効果的なのはマイクロレストと呼ばれる小さな休息の積み重ね。わずかな時間でも、「休息モード」に切り替えることができます。


今すぐできるマイクロレスト5選

  1. デスクで深呼吸
    パソコンの手を止めて目を閉じ、4秒吸って6秒で吐く呼吸を3回。心拍数が落ち着き、自律神経がリセットされます。

  2.  5分だけ空を眺める
    窓の外やベランダに出て空を見上げるだけでもOK。自然のリズムに意識を向けると、脳の疲れがやわらぎます。

  3. 温かい飲み物を味わう
    お気に入りのコーヒーや紅茶を一口ずつ丁寧に味わう。五感を使うことで「今ここ」に気持ちが戻ってきます。

  4. 音楽で気分をリセット
    好きな曲を1曲だけ。音楽は感情を直接調整する力があり、短時間でも気分転換になります。

  5. アロマで脳をほぐす
    ラベンダーやベルガモットの香りを深く吸い込むと、感情を司る大脳辺縁系に働きかけ、リラックス状態へ。


💡意識的な呼吸法や休息により、短時間でも心拍数の低下や、副交感神経の活性化が期待できるといわれています。


【ケア2】マインドフルネス|不安な心を「いま」に戻す

マインドフルネスとは、「いまこの瞬間」に注意を向け、判断せずにありのままを受け入れる心のあり方。未来への不安や過去の後悔にとらわれず、「呼吸している自分」「目の前の景色」「今この瞬間の経験」に気づくだけ。自動的な思考や反応から距離をとることで、心が休まりやすくなります。


3分でできるマインドフル呼吸法

  1. 背筋を伸ばして椅子に座る

  2. 目を軽く閉じ、自然な呼吸に意識を向ける

  3. 吸う息を「ひとーつ」、吐く息を「ふたーつ」と数える

  4. 10まで数えたらまた1に戻す

  5. 雑念が出ても「戻ろう」と呼吸に意識を戻す

💡「正しくやろう」と思わず、気が散っても優しく呼吸に戻ること。
寝る前に3分取り入れると、頭の中のざわつきがリセットされ、眠りにもつながります。


【ケア3】セルフコンパッション|自分に優しくする習慣

セルフコンパッションとは、失敗や不安を感じたときに自分を責めるのではなく、友人に接するように優しく自分を扱う心理的アプローチです。

心理学者 クリスティン・ネフ博士の研究では、セルフコンパッションの実践によってストレス耐性の向上・抑うつ症状の軽減・回復力(レジリエンス)の向上 が確認されています。


セルフコンパッション3つの要素

  1. 自分への優しさ(Self-kindness)
    自分を批判するのではなく、親しい友人にかけるような言葉で自分を支える

  2. 共通の人間性の認識(Common humanity)
    苦しみや失敗は自分だけでなく、誰にでもある普遍的な経験だと理解する

  3. マインドフルネス(Mindfulness)
    感情を抑え込んだり、過度に巻き込まれたりせず、バランスを保ちながら観察する



  • セルフコンパッション・ブレイク(2分でできる心のケア)

  1. 「今、辛い気持ちを感じている」と現状を認める

  2. 「これは誰にでもある自然な経験だ」と共通性を思い出す

  3. 「私は自分に優しくしよう」と心の中で自分に言葉をかける

💡辛い感情が込み上げたときや、自分を追い込みそうになったときに使える、心を軽くするシンプルな方法です。


日常で使える自分への言葉がけ

  • 疲れを感じたとき:「今日もよく頑張ったね」

  • 失敗したとき:「これも学びの一部。完璧じゃなくて大丈夫」

  • 不安なとき:「大切なことを思っている証拠。私は一人じゃない」



日常に溶け込むメンタルケア習慣|書く・感じる・認める

ジャーナリング|心の整理整頓術

頭の中の不安やイライラをノートに書き出すと、漠然とした感情が客観的に整理されていきます。

  • シンプル・ジャーナリング

  1. 今日あった3つの良いことを書く(小さなことでOK)

  2. 今感じている感情を単語で書き出す

  3. 明日への小さな楽しみを1つ見つける

📝ポジティブな出来事を記録する習慣により、幸福感が向上するといわれています。


  • 3つの感謝ワーク

  1. 今日出会った人への感謝

  2. 自分の体への感謝

  3. 身の回りの小さな美しさへの感謝

📝感謝の気持ちを意識的に持つことで、脳内でドーパミンやセロトニンの分泌が促されます。


境界線を引く勇気|「ノー」と言う自分を許す

プレ更年期は、人生の優先順位を見直す時期でもあります。すべてに完璧に応えようとせず、「今の自分にとって本当に大切なこと」を選択する勇気を持つことも大切です。


健全な境界線とは?

  • 疲れているときは予定をキャンセルする

  • SNSを見る時間を制限する

  • 完璧を求めすぎずに「80%で十分」を心がける

  • 他人の機嫌に責任を感じすぎない

こうした小さな工夫が、心に余白を生み出します。



まとめ|プレ更年期を「心を育む」時期に変える

プレ更年期に起こる不安やイライラは、決してあなたの弱さや性格の問題ではありません。体の変化に伴う自然なプロセスです。

大切なのは、この時期を「我慢する期間」ではなく、「心を大切にする習慣を身につける期間」と捉え直すこと。

  • マイクロレストで小さな休息を積み重ねる

  • マインドフルネスで心を「いま」に戻す練習をする

  • セルフコンパッションで自分に優しい言葉をかける

これらの習慣は、プレ更年期を乗り切るためだけでなく、この先の人生をより豊かに生きるための心の筋力となります。

今日からたった数分でいいので、自分の心にやさしい時間を作ってみませんか?

Hello Inner Care!