30代後半から40代にかけて訪れるプレ更年期。
朝の目覚めがすっきりしない日が増えたり、些細なことでイライラしてしまったり。体調や気分が「なんだか前と違う」と感じる一方で、家庭や仕事ではむしろ責任が増していく時期でもあります。
これまでの連載コラム【プレ更年期】では「体や心へのセルフケア」を中心に触れてきましたが、今回は視点を広げて「家族やライフステージとの重なり」にフォーカスします。
自分の調子と家族の変化が交差するこの時期。少しでもラクに過ごすためのヒントを探ってみましょう。
重なり合う変化の波
プレ更年期は、エストロゲンの分泌が少しずつ不安定になってくる女性も。
「昨日は元気だったのに、今日はどんよりと重い気持ちに...」なんてことも。体も心も波のように揺れやすくなります。
そこに重なるのが、ライフステージ上のさまざまな変化。
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子どもが幼児から小学生へ、あるいは思春期へと成長する
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親世代が健康診断や小さな不調で「年齢」を意識し始める
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仕事ではキャリアの中核を担い、責任やプレッシャーが増す
「母として」「娘として」「働く女性として」── それぞれの役割を大切にしたいからこそ、ひとりで空回りしているように感じることも。
自分のことは何もできなかった...そんな日、ありませんか?
まずは「全部を完璧にやろうとしない」こと。これだけで、少し呼吸がしやすくなるはず。
家族との理解を深めるコミュニケーション
プレ更年期の症状は外からは見えにくく、家族にとっても理解が難しいもの。だからこそ「今日は疲れている」「この頃、眠りが浅い」など、できるだけシンプルに現状を伝えることが大切です。
小さなことでも誰かに任せるだけで、「一人ですべてを背負わなくていいんだ」とホッとできますよね。
体調の変化をアプリやノートに記録しておくのもおすすめ。
「これは気分の問題じゃなくて、体のリズムなんだ」と自分も納得でき、家族に見せれば「本当に波があるんだね」と理解してもらいやすくなります。
パートナーと一緒に知っておきたいこと
パートナーにとって「プレ更年期」という言葉は、まだなじみが薄いかもしれません。
だからこそ知っておいてほしいのは、これが本人の努力不足ではなく、体の自然な変化によるものだということ。さらに、小さな気遣いが大きな支えになることです。
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「今日は無理しなくていいよ」という声かけ
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子どもの宿題を一緒に見てくれること
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「今日は外食にしようか」という提案
ほんの少しの行動でも「理解されている」という実感につながり、心の負担は驚くほど軽くなります。ゆらぎと向き合うためにも、あなたの現状をパートナーと共有してみませんか?
思春期の子どもとの向き合い方
親がプレ更年期を迎える頃、子どもが思春期にさしかかることは少なくありません。
思春期の子どもは、身体の成長にともなうホルモンの変化に加えて、脳や心の発達、自立心の芽生えが重なり、感情が揺れやすくなります。親への反抗的な態度として現れるのも、その一つの表れです。
「親だからちゃんとしなきゃ」と気負う必要はありません。
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言い合いになりそうなときは、一呼吸おいて距離をとる
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会話が難しいときはLINEやメモで思いを残す
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「大切に思っているよ」という気持ちだけは伝え続ける
完璧に対応できなくても大丈夫。むしろ「親も揺らいでいる」という姿を見せることが、子どもにとって安心につながることもあります。
親も子も揺らぐ時期だからこそ、「今はお互いそういう時期なんだ」と受け止められると、とても気持ちが軽くなります。
親世代との将来に向けた対話
親がまだ元気でも、健康診断の結果やちょっとした不調をきっかけに「老い」を感じる場面が出てきます。介護という段階に入る前だからこそ、余裕をもって準備できるのは今のうちです。
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緊急時の連絡方法を確認しておく
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医療や介護に関する希望を軽く聞いておく
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家族で役割をどう分担するか話してみる
「まだ先のこと」と思うからこそ、話せることもあるはずです。プレ更年期の自分の体調と親世代の変化が重なる前に、少しずつ環境を整えておきましょう。
一人で抱え込まずに歩んでいく
プレ更年期は、ホルモンバランスの不安定さに加えて、家庭や仕事での変化が重なる時期です。ひとりで空回りしているように感じることもあるかもしれません。
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家族に“今の状態”を伝える
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パートナーと知識を分かち合う
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子どもとは「お互いに揺らぐ時期」と受け止める
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親世代とは元気なうちに将来の準備をする
一つひとつの工夫は小さくても、それが積み重なることで「私は大丈夫」という土台ができます。
プレ更年期は、一人で抱え込む時期ではなく、支え合いながら歩んでいける時期。そう思えるだけで、肩の力がすっと抜けるのではないでしょうか。
そして次回は最終回。これまでの歩みを振り返りつつ、「更年期」という新しいステージを前向きに迎える準備についてお届けします。